証券会社情報
一般市場と新興市場の違い
日本には東京証券取引所(東証)、名古屋証券取引所(名証)、福岡証券取引所(福証)、札幌証券取引所(札証)の4つの証券取引所があります。そして、それぞれの取引所が企業の規模や業績、株式の流動性など別に上場できる市場を設けています。
各取引所には、一般市場(本則市場)と呼ばれるメーンマーケットと、新興市場と呼ばれる市場に各取引所が設けている新興企業向けの市場があり、それぞれに上場審査基準があります。東証、名証では一部に大企業、二部に中堅企業が上場、新興市場にはベンチャー企業を中心とした新興企業が上場しています。
各市場の上場基準
市場にはそれぞれ株式上場するためにクリアしなければならない上場審査基準が定められています。
一般市場(本則市場)

市場ごとに基準は異なりますが、東証本則市場(第二部)は、上場株式数は400万株以上、時価総額20億円以上、連結純資産額は10億円以上など多くの規定があります。さらに企業の継続性や企業経営の健全性、企業経営の内容開示の適正性なども審査されます。これらの基準を満たして初めて、第二部に上場できます。新規で第一部へ上場する場合は、審査基準はさらに厳しくなります。全国の一般市場は以下の通りです。
- 東京証券取引所 市場第一部、市場第二部
- 名古屋証券取引所 市場第一部、市場第二部
- 福岡証券取引所
- 札幌証券取引所
新興市場
ベンチャー企業を中心とした新興企業向けの市場では、企業の成長性が審査の重要なポイントです。利益よりも成長の可能性を優先しているので、企業が赤字でも上場可能な市場もあります。東京証券取引所のマザーズの場合は、上場時の時価総額が10億円以上であれば、純資産額、利益額に規定はありません。全国の新興市場は以下の通りです。
- ジャスダック(東京証券取引所)
- マザーズ(東京証券取引所)
- TOKYO PRO Market(東京証券取引所)
- セントレックス(名古屋証券取引所)
- Q-Board(福岡証券取引所)
- アンビシャス(札幌証券取引所)
市場のステップアップ

企業は、資金調達や信用度・知名度向上など企業価値向上のために上場を目指します。「上場」には「新規上場」だけでなく、市場をステップアップする「指定替え」や、新興市場から本則市場に昇格する「市場変更」などもあります。
新規上場
初めて株式市場に上場することを「新規上場」といいます。どの取引所にも上場していない企業が上場する場合は「新規株式公開(IPO)」、すでに他の取引所に上場している会社が別の市場に上場することを「経由上場」と呼びます。
指定替え(一部指定、二部指定)
上場する市場が替わることを指定替えといいます。その多くは、第二部に上場している企業が第一部に昇格する場合や、新興市場に上場している企業が第二部に昇格する場合を指します。ただし、上場基準を満たせない企業が第一部から第二部に変更になる場合もあります。
市場変更
新興市場に上場している企業が本則市場である第一部、第二部に市場を変更することを「市場変更」といいます。新興市場への上場後に収益確保や流動性が高まった場合、本則に市場変更できます。東証の場合、第二部への市場変更に審査はありませんが、第一部に変更するには売買高の条件や、40億円の時価総額が必要と定められています。ちなみに、他の証券取引所から東証一部に直接上場する場合には、時価総額250億円が必要です。